うたびとのきおく
Sicx Lives関連
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探索63~65日目
遺跡の森にも、ここかしこに開けた場所があり、多くは野営の陣地や同道者間での交流の場にもなっているものだが、今この場所には天使が一人と男が一人、十歩を置いて対峙していた。
静かに睨み上げるのは少女のなりをした天使。プラヒム。
穏やかに応じるのは苔色の髪を垂らした歌うたいびと、モーリス・ルドワイヤンである。
「力を示せ、といわれても、歌うたいが示せるものといえば、物語をおいて他に何があろう。」
モーリスの型式どおりともいえる文句に天使は否を言う。
「それでは私は納得させられないぞ。」
「では、他には何を求めるね?」
「複雑な召喚の術式も、作法も満足に心得ないことは見てわかる。」
だのに自分の真の名前を得、従える権利を手に入れてしまったのだ。とはさすがに言の葉には乗せかねた。
「その上に、何をも示せぬというのならば喰らうまでだぞ。
それが召喚の無作法に対する作法だからな。
喰われるのが嫌ならば―」
にわかに天使が飛びあがった。
羽ばたく翼は闇の色をして、黒い天使の異名を明らかにしている。
それまでよりも後方の空中を取り、見る間にひとつの呪印―それは簡単なものではあったが―を完成させる。
モーリスはそれを見上げた。
途端にその端麗な姿がぐにゃりと歪み、その歪みの中心から重い風が吹いた。
重い風は逃げる間もなく天使を襲い、その心の奥に鉛となって留まった。
しかしそう感じたのは天使、プラヒム一人であった。
長身の歌うたいはただ、立って彼、あるいは彼女を見上げているだけである。
「小賢しい。」
プラヒムは唸った。
声を出すのがなんとはなし億劫になっている。
まんまとモーリスの術中にはまってしまった証左である。
右手に展開された呪印も常よりも重い。
しかしかまわずにそれを投げつける。
今度こそ彼の姿が一瞬歪んだ。
呪印が彼を打ち、くぐもった呻きを上げさせる。
そしてその左肩にとどまり、魔法の文字を黒く浮かび上がらせた。
身動きするたびに彼を縛り、消耗を強いる印である。
≪悪い夢が秘やかに待っている。≫
モーリスの唇から抑揚のある一節が発せられたのはそれとほとんど同時だった。
しかも言葉だけではなく、黒い四つの影が発せられたと見えた。
影はプラヒムをただ通り抜けて背後に消えた。
その心に新たな黒い影を置いて。
見た目には何ももたらす事はなかったが、心の力は確かに弱められ、それはその手足をも力なくさせた。
モーリスは肩を押さえて立つ。
前衛にはいつの間にか、黒い小さな塊が位置していた。
対する天使は上空にいて、残酷な瞳で見下ろしている。
レナーテ&マリアさん主催のイベント、Heat of Battleに参加しました。
サブキャラのペリーこと天使プラヒムとモーリーとのバトル。といっても非接触フェイズまでの描写です。攻撃の内訳は順に夢幻・ロウスピリット、呪印、ラビス。
このふたり、モーリーには戦う理由がないのですが、ペリーのほうでは今すぐモーリーを殺してしまってもいいくらいです。
名前を取られてしまっているので、彼女(あるいは彼)の中には自由になりたい衝動のようなものがつねにある、という設定。普段はそれとはちょっと別のポイントで行動していますが。
そういえば、イビルエンジェルってどんな存在なのかいまいちわかりませんが、私の中では天使の中でも死や破壊等の負の側面を司るものを呼ぶことにしています。堕天使とはまた別の設定。ペリーはかなり堕天使くさいですが。こんなところでうろうろしている時点で。
穏やかに応じるのは苔色の髪を垂らした歌うたいびと、モーリス・ルドワイヤンである。
「力を示せ、といわれても、歌うたいが示せるものといえば、物語をおいて他に何があろう。」
モーリスの型式どおりともいえる文句に天使は否を言う。
「それでは私は納得させられないぞ。」
「では、他には何を求めるね?」
「複雑な召喚の術式も、作法も満足に心得ないことは見てわかる。」
だのに自分の真の名前を得、従える権利を手に入れてしまったのだ。とはさすがに言の葉には乗せかねた。
「その上に、何をも示せぬというのならば喰らうまでだぞ。
それが召喚の無作法に対する作法だからな。
喰われるのが嫌ならば―」
にわかに天使が飛びあがった。
羽ばたく翼は闇の色をして、黒い天使の異名を明らかにしている。
それまでよりも後方の空中を取り、見る間にひとつの呪印―それは簡単なものではあったが―を完成させる。
モーリスはそれを見上げた。
途端にその端麗な姿がぐにゃりと歪み、その歪みの中心から重い風が吹いた。
重い風は逃げる間もなく天使を襲い、その心の奥に鉛となって留まった。
しかしそう感じたのは天使、プラヒム一人であった。
長身の歌うたいはただ、立って彼、あるいは彼女を見上げているだけである。
「小賢しい。」
プラヒムは唸った。
声を出すのがなんとはなし億劫になっている。
まんまとモーリスの術中にはまってしまった証左である。
右手に展開された呪印も常よりも重い。
しかしかまわずにそれを投げつける。
今度こそ彼の姿が一瞬歪んだ。
呪印が彼を打ち、くぐもった呻きを上げさせる。
そしてその左肩にとどまり、魔法の文字を黒く浮かび上がらせた。
身動きするたびに彼を縛り、消耗を強いる印である。
≪悪い夢が秘やかに待っている。≫
モーリスの唇から抑揚のある一節が発せられたのはそれとほとんど同時だった。
しかも言葉だけではなく、黒い四つの影が発せられたと見えた。
影はプラヒムをただ通り抜けて背後に消えた。
その心に新たな黒い影を置いて。
見た目には何ももたらす事はなかったが、心の力は確かに弱められ、それはその手足をも力なくさせた。
モーリスは肩を押さえて立つ。
前衛にはいつの間にか、黒い小さな塊が位置していた。
対する天使は上空にいて、残酷な瞳で見下ろしている。
Heat of Battle
レナーテ&マリアさん主催のイベント、Heat of Battleに参加しました。
サブキャラのペリーこと天使プラヒムとモーリーとのバトル。といっても非接触フェイズまでの描写です。攻撃の内訳は順に夢幻・ロウスピリット、呪印、ラビス。
このふたり、モーリーには戦う理由がないのですが、ペリーのほうでは今すぐモーリーを殺してしまってもいいくらいです。
名前を取られてしまっているので、彼女(あるいは彼)の中には自由になりたい衝動のようなものがつねにある、という設定。普段はそれとはちょっと別のポイントで行動していますが。
そういえば、イビルエンジェルってどんな存在なのかいまいちわかりませんが、私の中では天使の中でも死や破壊等の負の側面を司るものを呼ぶことにしています。堕天使とはまた別の設定。ペリーはかなり堕天使くさいですが。こんなところでうろうろしている時点で。
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管理人: 笹屋
自己紹介:
=Sicx Lives=
Eno.428 Basilius Hectogravium
穏やか学者さん(セルフォ)
Eno.1001 Lune
魔女のお姉様(アンジ)
=Fales Island Revenge=
ENo.454 Liliya L'ecska
見た目少女剣士
=Fales Island=
ENo.1493 Maurice Ledoyen
長命種の魔法使い
=Fallen Island=
ENo.612 プラヒム
気ままなイビルエンジェル
=Alive 4th=
Eno.1407 ミルフィード
ようせいおんなのこ
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